車椅子を使われている方の悩みで一番目にくるのが、家の玄関から出るのが快適じゃないということではありませんか?
外出してしまうと最近はバリアフリーも増えていますが、お住まいの玄関や玄関までのアプローチを見ると、車椅子で移動しにくくなっているということがあります。
そこで今回は、外構工事専門業者であるG-Stoneが、車椅子が快適に移動できる玄関スロープについてご紹介していきます。
1: 車椅子で楽に動くための勾配を知ろう

私たちが移動するところには、少なからず坂があります。
これは外出先の駅にもありますし、モールにもあります。
そして、お家の中にもありますし、玄関までのスロープにもあります。
坂は特に気にせず見ているだけですと、どこを見ても変化がないように見えます。
パッと見て坂がキツいとわかるとき、その坂はかなり急な角度になっていると思われます。
一般的に人が移動するところには、そのような急な坂はありませんので、坂の角度を気にしている人は多くありません。
しかし、これが車椅子で移動するとなると、坂の角度が移動に影響していきます。
例えば、スロープの無い歩道橋。
歩行者だけを想定していますから、約27度という角度がついています。
階段で歩くという行動でのみ上り下りが出来る角度です。
ちなみに27度は、車では昇れません。
当然ですが、車椅子では移動できません。
次にスロープのある歩道橋。
これが約14度と言われています。
スロープがついていますから車椅子で移動できるのかというと、
- 車椅子に乗る本人さんだけでは、かなり難しい
- 車椅子を介助の人が押して上がるのは、ちょっと大変
- 車椅子を介助の人がバックで支えながら降りるのは可能
介護タクシーのスロープや、デイサービスで迎えに来てくださるワンボックスのスロープがこの角度です。
次、7~8度の場合。
非力な女性でも、何とか車椅子を押して上がれます。
しかし、本人さんだけでは移動できません。
では、本当の意味でのバリアフリーとは何度なのかというと、5度以下なんです。
この角度は病院のスロープに多いです。
介助者も楽に押せますし、本人さんも自分で移動できます。
2: 玄関スロープの基礎知識

このようにスロープと言っても、勾配によっては使いづらいことがあります。
おそらくご自宅で使えるスロープに勾配としては、理想は5度以下です。
これが難しい場合には、7~8度を検討するのがおすすめです。
また、車椅子が楽に通過できる幅というものがあります。
通常、横幅780mmではギリギリだと言われています。
玄関スロープの場合、両側に手すりがありますし、植木もあるでしょうから、780mmより少し余裕を持たせておきたいところです。
また、玄関スロープの作り方によっては、途中で方向転換しないといけない場合もあります。
その場合、車椅子で楽に回転できる幅を考えておかないといけません。
車椅子がクルッと360°回転するためには、1500mm四方の面積が必要となります。
車椅子は比較的小回りも効きますが、近すぎるとぶつかることもありますのでこれくらいはほしいところです。
また、360°の回転ではなく、直角に曲がる場合ですと、900mmの幅があると余裕をもって曲がることができます。
思っているよりも少し余裕のあるスペースを確保するように検討しておきたいですね。
3: 玄関の中はどうしたらいいの?

表の道路から玄関までのスロープは、勾配と幅を基準に検討することで、外出が楽になります。
本人さんも介助者も楽に出入りできるだけで、気分が変わります。
ここまで良いとして、家の中での問題が残っています。
そう、玄関と廊下部分ですね。
スロープは出来ても玄関の段差を何とかしなくてはいけません。
玄関の先の廊下へスムーズに入れなくてはいけません。
玄関がスロープから見て直線上にあり、廊下も玄関の直線上にある場合は、まだ簡単に対処することができます。
この場合は、玄関スロープの延長線上に、もうひとつスロープを設置すれば何とかなります。
一番困るのは、玄関から廊下への方向が直角に曲がっている場合です。
この場合、玄関から廊下に向けてスロープを置くことができません。
そこで、そんなときには、次の対処方法を検討してみてください。
(1)玄関リフォームを行う
(2)介護用品として販売されている「L字スロープ」が使えないか検討する
介護用品に関しては、ケアマネさんに相談すると詳しく教えてもらえます。
4: まとめ
勾配が少し違うだけで、車椅子の本人さんも、介助する人も、負担が変わってきます。
また、負担が大きくなればなるほど危険度も上がりますので、本人さんが一人で外出することも難しくなります。
また、毎回移動しにくいスロープを出入りすることになると、外出そのものを面倒に感じてしまわれることもあるでしょう。
特に高齢の方の場合は「寝たきり」というQOLが低下した暮らしに入ってしまいます。
これは本人さんも望んでいる状態ではありませんし、介助する人たちも望んでいない状態。そして、お互いにとってうれしくない状況でもあります。
ぜひ今回の内容をご検討いただき、車椅子のままで楽に出入りできる環境を手に入れてください。
外出が楽になると、気持ちも晴れやかになっていきます。
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